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継続的な翻訳

翻訳の実務では、一度翻訳を完了して終わりではなく、「途中で追加の原稿が届いた」「過去に翻訳したプロジェクトの訳文を、次の案件で翻訳メモリ(TM)や用語集(TB)として再利用したい」といったケースが頻繁に発生します。

SheepWeave はプレーンテキストおよび JSON をベースとしたオープンなアーキテクチャを採用しているため、こうした継続的な翻訳作業や翻訳資産の柔軟な再利用・育成を得意としています。


原文ファイルの追加

翻訳プロジェクトの進行中に、クライアントから新しい翻訳対象ファイル(Word、Excel、XLIFF など)が追加で支給された場合でも、プロジェクトを作り直す必要はありません。

  1. 追加ファイルの配置:
    • 新しく追加された原文ファイルを、作業フォルダ内の Working/02_SOURCE フォルダに配置します。
  2. プロジェクトの更新(Flowタブ):
    • SheepWeave パネルの Flow タブを開き、作業中(On Working) メニューを選択します。
    • 🧶 原文ファイルの追加(Add Files)ボタンをクリックします。
  3. エディタへの自動反映:
    • 既存の翻訳データ(project.json)や確定済みの進捗を維持したまま、新しいファイルの原文が抽出され、Target.shwvt の末尾に自動的に差分追加されます。
    • あとは追加された行の翻訳を通常通り進めるだけで完了します。

参照ファイルとしての利用

過去に SheepWeave や他の CAT ツールで作成した翻訳データ・用語集は、新しいプロジェクトの「参照資料(Ref)」として簡単に活用できます。

参照用のファイルは、プロジェクト初期化時に作成される Data/Ref (または作業フォルダ内の Working/01_REF)に配置します。

project.json をそのまま使う

過去の SheepWeave プロジェクトで作成された project.json(または完了時に 05_COMPLETED 内に生成された project.json)は、そのまま強力な TM(翻訳メモリ)として機能します。

  • 過去の project.json を、新プロジェクトの Data/Ref/TM フォルダにコピーして配置します。
  • 原文と訳文の対照データが丸ごと参照され、類似度(Match Ratio)に応じた一致候補が Translate タブに自動表示されます。

生成されたTM(json)を使う

プロジェクト進行中に蓄積された翻訳データは、JSON 形式で軽量に保持されています。これをそのまま抽出・共有し、チーム内や他プロジェクトの TM として組み込むことができます。

生成されたTB(json)を使う

SheepWeave では、入力補完や置換を効率化するための用語アセットが自動・手動で蓄積されます。

  • phrase.jsonl(インテリセンス・定型句): Working/01_REF/phrase.jsonl に頻出の言い回しや定型表現({"input": "略語", "phrase": "正式名称"})を1行1オブジェクト形式(JSON Lines)で登録しておくことで、カンマや配列括弧の入力エラーなしで手軽に管理でき、エディタ上で Ctrl + Space を押して素早く入力補完できます。(※旧 phrase.json との後方互換にも対応)
  • auto_replace_log.jsonl(自動置換ログのダイレクトTB活用): F2Ctrl + Shift + Z による一括置換履歴は Working/01_REF/auto_replace_log.jsonl に自動記録されます。 SheepWeave は .jsonl 形式の用語集も直接読み込めるため、作業中であっても置換履歴がリアルタイムで TB 候補として自動反映されます。 プロジェクト完了時にアーカイブすると Archive/YYYYMMDD/01_REF/auto_replace_log.jsonl としてそのまま保護されるため、次回のプロジェクトの Data/Ref/TB/ にコピーして配置するだけで、事前のフォーマット変換なしで即座に用語集(TB)として再利用できます。

SheepWeave は、業界標準のフォーマットや実務で使い慣れたファイル形式にも幅広く対応しています。

  • 対応形式:
    • TM(翻訳メモリ): TMX(.tmx)、Excel(.xlsx)、CSV(.csv)、JSON(.json
    • TB(用語集): TBX(.tbx)、Excel(.xlsx)、CSV(.csv)、JSON(.json
  • 利用手順:
    1. ファイルを Data/Ref/TM または Data/Ref/TB フォルダに配置します。
    2. Flow タブの 作業中(On Working) から 📈 プロジェクトファイルの再分析と参考ファイルの追加(Reanalyze)を実行します。
    3. 解析が完了すると、Translate タブの TM/TB 候補エリアに即座に反映されます。

今後の展望

プレーンテキスト / JSON ベースのデータ構造を持つ SheepWeave は、従来の閉じた CAT ツールにはない高度な拡張性を備えています。

JSON ドキュメントとして ManticoreSearch へ組み込む

SheepWeave の翻訳データ(project.jsonjsonl)は構造化されたテキストデータであるため、超高速な全文検索エンジン「ManticoreSearch」やベクトルデータベース(RAG)との連携が非常に容易です。

将来的に過去数万〜数十万セグメントに及ぶ膨大な翻訳資産を ManticoreSearch へインデックス化することで、ミリ秒単位でのリアルタイムコンコーダンス検索や、AI(LLM)への高度なコンテキスト提供が実現可能です。

Git を使ったバージョン管理

従来の CAT ツールでは、巨大なバイナリファイルやローカルデータベースでデータを保持するため、変更履歴の追跡や複数人での差分管理が困難でした。

SheepWeave の作業ファイル(.shwvt / .shwvs / project.json)はすべて完全なプレーンテキストです。プログラミングの開発現場と同様に Git(GitHub / GitLab 等) と組み合わせることで、以下のようなプロフェッショナルな運用が可能になります。

  • コミット履歴による変更追跡: 「いつ・誰が・どの行の訳文を変更したか」を正確に Diff 追跡
  • ブランチを活用した並行作業: 一時的なレビュー用ブランチの作成や、編集・ポストエディットの並行進行
  • クラウド同期とバックアップ: Git リポジトリを通じた安全かつ軽量なデータ共有

まとめ

SheepWeave は「単発の翻訳をこなすエディタ」にとどまらず、翻訳を進めれば進めるほど用語集や TM 資産が自然に育ち、Git や AI とシームレスに統合できる 持続可能な翻訳プラットフォーム を目指しています。